機能和声とは — コードは7つ、職業は3つ
第4回で私たちは7つのコード家族に出会い、そのうち3人に役を 与えました。Iは家、IVは旅、Vは緊張。でも、何か引っかかりませんでしたか? 家族は7人、職業は3つ — では ii・iii・vi・vii° は遊んでいるのでしょうか。違います。今日のテーマ機能和声を知れば、 残り4人の正体が明らかになります。彼らは3つの役の代役(アンダースタディ)なのです。
機能 — コードの職業
機能とは、進行の中でコードが担う職業のこと。大きく3つあります。トニック(T) — 家、安定、 物語が休む場所。サブドミナント(S) — 旅、移動、物語が転がり出す場所。ドミナント(D) — 緊張、家に帰りたい切実さ。どんな曲でも、和声の大きな流れは結局 T → S → D → T の循環です。 第4回の家-旅-緊張-家が、まさにこれでした。
肝心なのはここ。7つのコードはこの3チームに分かれるのです。名簿はこう — 家チーム:I・vi(・iii)、 旅チーム:IV・ii、緊張チーム:V・vii°。同じチームの仲間は構成音を2つずつ共有しているので、 互いの代わりを務められます。
代役たち — iiとvi
まず旅チームの代役から。I-IV-V-IのIVをiiに置き換えるとI-ii-V-I。物語は同じ 「家-旅-緊張-家」なのに、明るい旅立ち(IV)が柔らかな旅立ち(ii)に変わり、空気が少し変わります。 この交代こそ、ジャズの文章ii-V-Iの出生の秘密 — 少し先の回でちゃんと会いましょう。
家チームの代役はもっと劇的です。緊張(V)が終わり、誰もが家(I)を待つ瞬間、代わりにviが 登場したら?「あれ、家じゃない!」— 第4回でかすめた偽終止(V-vi)の正体がこれです。viはIと 2つの音を共有する「家の影の代役」なので、違和感はないのに、切なく物語が引き延ばされる。バラードの 最後のサビ直前、あの焦れったい瞬間の定番です。
ポップスの進行を機能で読み直す
では第4回のポップ4コードI-V-vi-IVを、機能の目で読み直して みましょう。家(T)- 緊張(D)- 家の代役(T)- 旅(S)。緊張が本物の家ではなく代役(vi)で 解決し、旅(IV)で終わるから、また家(I)へ帰りたくなる。終わりもせず、宙にも浮かない循環 — この進行が無限に回れる理由は、機能の中にぜんぶ書いてあったのです。
ローマ数字と機能で曲を読み始めると、調が変わっても物語が見えます。GキーのG-D-Em-Cも、Cキーの C-G-Am-Fも、みんな同じ文章(I-V-vi-IV)ですから。
代役たちを耳で — Theory Labの「機能と代理」レッスンへ→
機能はコードの職業です。役者(コード)が変わっても物語はいつも家-旅-緊張で、代役システムの おかげで進行の語彙が爆発的に増えます。ここまででダイアトニック和声の1階が完成。次回からは 色を塗る番です — 3度を積み続けると現れるテンション(9・11・13)の虹へ。この回が難しく 感じたら、第4回:コード進行とはと 第7回:マイナーキーの和声を先にどうぞ。