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音程とは何か — 二つの音の距離、感情の始まり

前回の第1回では、「どの音たち」が集まって音階になるのかを見ました。ところが 音楽の明るさ・暗さ・ときめき・不安といった感情は、一つ一つの音ではなく**二つの音の「距離」から 生まれます。同じドでも、どの音と組み合わされるかでまったく違う表情になるのです。その距離に名前を つけたものが、まさに音程(インターバル)**です。この記事では、音程とは何かを土台から、そしてその 距離がなぜ特定の感情を呼び起こすのかを、有名なメロディで実際に聴きながら身につけます。

音程は「二つの音の距離」です

音程は難しく考える必要はありません。二つの音がどれだけ離れているか、それだけです。数え方も とても簡単。低い音を1として、目的の音まで音名を一つずつ数えるだけです。

ドからミまで行ってみましょう。ド(1)-レ(2)-ミ(3)。3つ分なので3度です。ドからソはド-レ-ミ- ファ-ソ、5つ分なので5度。始まりの音自身を1として数える、これさえ覚えれば、あとはただ数える だけです。(だから「同じ音」は1度、1オクターブは8度になります。)

明暗のスイッチ — 長3度と短3度

ここで大事なひとひねり。同じ「3度」でも、その中には2種類が隠れています。少し広い3度(長3度)と、 半音狭い3度(短3度)です。この半音ひとつの差が、音楽で明るさと暗さを分けるいちばん大きな スイッチなのです。

第1回で出会ったド-ミ-ソ(メジャーの和音)を思い出してください。真ん中の「ミ」を半音だけ下げると (ド-ミ♭-ソ)、急に音がしょんぼりします。これが短調(マイナー)の和音です。明るい曲を悲しく変える のも、和音の色を塗るのも、結局この3度ひとつの仕事です。百の説明より一度聴くほうが早いですね。下の 動画でメジャーとマイナーを交互に聴き、「半音ひとつ」の違いを感じてみてください。

甘い音程と、緊張する音程

第1回でお話ししたのを覚えていますか。二つの音の振動数の比が単純なほど甘く聞こえる、という話。 音程も同じです。オクターブ(2:1)、完全5度(3:2)、3度のように比が単純な音程はよく溶け合う 協和音程、2度や7度のようにぴったり隣り合ったり中途半端だったりする音程はぶつかる不協和音程 です。

なかでも有名な緊張のチャンピオンがいます。オクターブをちょうど半分に割った位置にあるトライトーン (増4度)です。あまりに不安に響くので、昔の人は「音楽の悪魔」と呼んだほど。今もサスペンスやホラー、 どんでん返しの場面で定番として登場します。『ザ・シンプソンズ』のあの有名な主題歌、最初の二音が まさにトライトーンです — 聴けば「ああ、あのくにゃっとした感じ!」となるはずです。

耳で覚える方法 — 知っているメロディに音程を掛けておく

音程を数字だけで覚えるとすぐ忘れます。ずっとよく定着する方法は、すでに知っている曲の出だしに音程を 掛けておくことです。ある音程が気になったら、その曲を口ずさむだけでパッと出てきます。代表的な 「アンカー(錨)となるメロディ」を3つ、実際に聴いてみましょう。

完全4度 — 結婚式のあの曲、ワーグナーの「結婚行進曲(Here Comes the Bride)」。「タターン」と 上がる最初の跳躍が完全4度です。

完全5度 — スターウォーズのメインテーマ。ファンファーレが力強く上へ跳ね上がる最初の跳躍が 完全5度です。なぜ5度があんなに「堂々として開けた」感じなのか、一発で分かります。

オクターブ — 「Somewhere Over the Rainbow」。最初の言葉「Some-where」の二音が、ちょうど 1オクターブを大きく跳び越えます。あの遠くまで広がる感じ、それがオクターブです。

こうしたアンカーを3つ4つ体に入れておくと、初めて聴くメロディでも「あれ、今のはスターウォーズの 跳躍だ = 完全5度」というふうに、音程が聞こえ始めます。

だから音程はなぜ大切なのか

音程は音楽のアルファベットのようなものです。コードは音程を積み重ねて作ったもの(第1回のド-ミ-ソは 3度+3度)、メロディは音程を一つずつつなげた道です。ですから音程の感じを耳でつかみ始めると、 コードがなぜ明るく暗いのか、メロディがなぜときめき、切ないのかが、ひとりでに見えてきます。

理論を超えて、結局の目標は耳で気づくことです。今日聴いたアンカーのメロディを数日口ずさんでいる うちに、いつのまにか音程が「聞こえる」瞬間が来るはずです。次回は、この音程を積み重ねて作る **コード(和音)**の世界へ入っていきます。音がどこから来たのかをまだ読んでいない方は、 第1回:なぜドレミファソラシドなのかからどうぞ。