ヒップホップの歴史⑥ トラップとストリーミングの時代 (2010s–現在)
ついに、いま私たちが聴いているヒップホップにたどり着きました。この時代の二つのキーワードはトラップと ストリーミングです。アトランタで育ったトラップ・サウンドが世界のポップを染め、YouTubeとSpotifyが音楽の 聴き方・作り方を丸ごと変えました。その結果? ヒップホップはロックを抜いて、地球で最も聴かれる音楽になったんです。
何が変わったか
- トラップが標準になる: 重い808ベースと細かく転がるハイハット。アトランタのトラップ・サウンドが、ヒップホップだけでなく世界のポップの基本文法になりました。
- ストリーミング革命: SoundCloudに上げた一曲でスターになれる時代。分厚いアルバムより、一曲のシングルやプレイリストの一席が重要になりました。
- ラップと歌の境界が消える: オートチューンでメロディを乗せることで、ドレイクのように歌うようにラップする「メロディック・ラップ」が主流になりました。
革命家たち
- Kendrick Lamar: ヒップホップを芸術の頂点に押し上げたこの時代の巨匠。大衆音楽で初めてピューリッツァー賞を受賞しました。
- Drake: ラップと歌を自在に行き来し、ストリーミング時代を完全に支配した最強の存在。
- Migos: 三連符(トリプレット)フロウを流行させ、トラップを世界中に広めたアトランタの立役者。
- Travis Scott: 幻想的なサウンドと圧倒的なライブで、新世代のアイコンになったスター。
必聴曲
Kendrick Lamar – "Alright" (2015)
苦しみのなかでも「俺たちは大丈夫だ」と叫んだこの時代の抵抗アンセム。芸術性とメッセージを両立させた名曲です。
こう聴いてみて: ジャズ感覚のビートと希望のサビ。ヒップホップが今も世界へ語りかけられることを示します。
Migos – "Bad and Boujee" (ft. Lil Uzi Vert) (2016)
トラップ時代を象徴する超特大ヒット。「ラタタタ…」という三連符フロウは世界中のミームになりました。
こう聴いてみて: 細かく刻まれるハイハットと反復するフック。トラップ特有の中毒性を全身で感じて。
Travis Scott – "SICKO MODE" (ft. Drake) (2018)
一曲のなかでビートが三度も切り替わる実験的な大作。現代ヒップホップ・プロダクションの自由さを見せてくれます。
こう聴いてみて: 曲の途中で場面が突然転換する瞬間。予想を裏切り続けるジェットコースターのような構成に注目。
Drake – "God's Plan" (2018)
ストリーミング時代の帝王が放った超特大ヒット。柔らかなメロディック・ラップの魅力が詰まった曲です。
こう聴いてみて: けだるく口ずさむフックと余裕あるフロウ。なぜドレイクがストリーミングの王なのか、すぐにわかります。
ブロンクスのひとつのブロックパーティから始まった音楽が、50年を経て地球で最も大きなジャンルになりました。 驚きませんか? さあ、次はあなたが一番惹かれる時代を選んで、もっと深く掘り下げる番です。良い旅を、そして 楽しんで聴いてください!